
今、「レガシー金融システムは完全に崩壊の道をたどっている」と言われています。
では、レガシー金融システムの崩壊は、世の中にどのような変化をもたらすのでしょうか。
メガバンクは確実に衰えている
本編の話に入る前に、わかりづらい用語である「レガシー金融システム」というものについて、少し触れていきます。

「レガシー金融システム」とは、端的に言うと、「従来の古い金融システム」のことを指します。
つまり、「メガバンクが力を持っていた頃の、古い金融システム」のことですね。
メガバンクをメインバンクとして貯蓄や資産運用をしていたのであれば、「レガシー金融システムに則って、貯蓄や資産運用をしていた」と言えます。
さて、そのレガシー金融システムの要であるメガバンクは、今確実に衰えています。
低金利
その原因はいくつかあり、そのひとつが「金利が落ちてしまった」というものです。昔はメガバンクに預金をすると、ある程度の金利が期待できましたね。
ところが今は、その金利が限りなくゼロに近づいてしまっているのです。これは、金融緩和政策による影響で、金利が大幅に落ちてしまったことに関係しています。
そうなると、メガバンクに預金をするメリットがなくなるので、他の金融機関に預金する人が増えてしまいますよね。これでは、メガバンクは体制を維持していくことが難しくなります。
金融業に異業種が参入
次の原因は、「金融業に異業種が参入してきてしまったこと」です。今までは、融資や送金などの金融業務は、銀行の仕事でした。
そしてその利益は、銀行が独占しており、メガバンクの利益独占はかなりのものだったのです。
ところが近年、IT産業が発展したことにより、金融業務にこれらの異業種が参入してきてしまいました。中には、規模は小さいものの、「ネット金融」という金融サービスを始めるIT起業も出てきました。
そのため、銀行を通さずとも、ネット経由で金融サービスを受けられるシステムも少しずつスタートし始めているようです。
その結果、メガバンクが利益を独占できなくなり、メガバンクの権威や体制が揺らぎ始めてしまいました。
そして、金融業務や利益が他業種にも分散されたことで、メガバンクの存在意味やメリットそのものも低下してしまったのです。
これらの原因によって、メガバンクは衰退し、銀行内でも大幅な人員削減が行われ始めました。つまり、大規模経営が当たり前だったメガバンクが、経営規模を縮小せざるを得なくなってしまったのです。
レガシー金融システムは、メガバンクが絶対的存在として君臨することで成り立っていました。しかし、メガバンクの衰退に伴い、レガシー金融システムも衰退の一途をたどりつつあるようです。
キャッシュレス化で銀行が不要となる
今、日本でも、キャッシュレス社会が少しずつ浸透しつつありますね。
このことが将来、銀行を不要にさせるのではないかとも囁かれています。

レガシー金融システムは、「現金が存在していること」が前提となっていました。
でも、キャッシュレスが進むと、当然、現金を使う必要がなくなりますよね。
このキャッシュレス社会も、レガシー金融システムを衰退させる要因のひとつです。
「銀行が近くにない→それならば銀行そのものを不要にしてしまおう」という発想から生まれたということですね。
つまり、銀行を不要にしてしまう目的で、キャッシュレスが進んだのがアフリカ諸国なのです。
実際に、このシステムは幅広く浸透し、山間近くの地方までキャッシュレスが進んだと言います。その結果、アフリカ諸国では、「現金支払いお断り」と表示まで激増したと言われています。
現金が存在しないなら、銀行を存在させる必要もいずれはなくなります。キャッシュレスの進化の先は、「銀行不要」という結末なのですね。
もちろん、このアフリカ諸国の例は、日本にいる私たちから見ると、少し極端な話です。しかし、現在コロナウィルスの影響で既に経済は崩壊しかねない状態です。
現時点ではオリンピックは延期になりましたが、その中には、「キャッシュレスが当たり前」という国から来ている人もたくさんいるはずです。
それに対応するためには日本でも、キャッシュレス化を進めざるを得ないのが現状です。
その結果、日本全体にキャッシュレス化が浸透すれば、当然、現金を使う人が減ります。そして、現金の使用率が下がれば、銀行の需要も低くなっていくと予想されます。
世界のキャッシュレス化と、コロナウィルス、そして天災…レガシー金融システムを衰退させる近未来は安易に想像できますね。