
2016年に働き方改革実現推進室が設置され、2019年4月から働き方改革関連法が順次施工されます。
でも、言葉で「働き方改革」と聞いても、何がどう変わっていくのか、あまり伝わってきませんよね?
そこで、子育てしながらの仕事・労働者の年齢など、状況別に分け、働き方改革でどのように変わっていくのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを検証してみることにしました。
働き方改革3つの柱とは?
働き方改革には3つの柱があります。
- 長時間労働を解消する
- 正社員と非正規社員の格差をなくす
- 高齢者の就労を促進する
これらをまず見ていきましょう。
長時間労働を解消する
残業時間は、月45時間・年間360時間が上限となります。もし、特別な事情が臨時的にある場合でも、年間720時間を超えることができません。
これが施行されるのは、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月からになります。
違反した場合は、罰則もありますので、気を付けていかなければなりません。いままで残業についてはうやむやになっていた企業もあるかも知れませんが、このような法律ができることでメリハリのある職場になることは間違いないでしょう。
限られた時間内での仕事は、作業の効率化を図ることにも繋がります。余計な仕事は省き、少しでもスピードアップさせていくような流れになることが見込めます。
正社員と非正規社員の格差をなくす
非正規社員は、正社員の約60%の賃金しかもらえてないのが日本の現状です。海外では、非正規社員でも正社員の約80%の賃金を貰えていることから、日本がいかに賃金が安いかということがわかりますよね。
正社員になりたくても、育児・介護などを抱える人も多く、そのような事情で正社員はあきらめざるを得ない場合もあります。また、正社員になりたくてもなかなか会社がOKしてくれないという場合もあるでしょう。
生産性・そしてモチベーションを上げていくには、非正規社員でも安定して働ける待遇の良い環境が必要です。
働き方改革では、非正規社員も正社員の約80%の賃金を貰えるよう目標を掲げています。また、最低時給も1000円を目指すとのこと。将来的には非正規社員をなくす方向で動いていくようですね。
士気が高まる環境にしてほしいものです。
高齢者の就労を促進する
国としては、定年延長や継続雇用の延長を掲げています。労働力不足の今、高齢者の勤務が日本には必要となってきています。
実際に高齢者の約半分以上が、「65歳を過ぎても働いていたい」と感じています。しかし、様々な条件の弊害で、実際に働けているのは約20%だとか。

うーん、そうかな!?一応データーはこのように出ていますが、周りの高齢者さんたちは「いつまで働けばいいんや」などと言ってますよ^^
話を戻します。
労働人口が減っている中、ベテランである高齢者の就労は、会社にとっても大きなものとなります。定年を延長、契約雇用を延長することで、労働生産性が向上し、会社的にも本人にも良い環境となります。
そして、高齢者の勤務時間や体調なども考慮した仕事を任せることも重要です。日頃から面談をするなど、きめ細やかな配慮を忘れすに行うことが大事でしょう。
また、退職される際も次の就職先を斡旋するなど、高齢者の力になることを忘れてはなりません。サポートを強化することで、信頼関係も深まり、仕事へのモチベーションにつながります。
「育児」働きたくても働けない女性をサポートしてくれるってホント?
女性は出産後、子育て中心の生活になってしまうことが多く、出産や育児をきっかけに自分の意志とは反して仕事を辞めざるを得ない人もいます。
しかし、子育てと仕事を両立させたいという女性も数多くいます。仕事にとてもやりがいを感じていたり、金銭的理由で仕事を続けたいという場合もあるでしょう。
また、少子高齢化や長時間労働が生み出す心身の疲労を取り除くべく、政府は
- 産休や育休の制度の整備
- 長時間労働を減らす
- テレワークの活用
などを取り組むことを進めています。
女性にとっての働き改革後のメリットとデメリット
働き方改革後、働く女性にとってどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
働き方改革のメリット
後ろめたい気持ちにならない
やはり、今までは「女性は出産したら退職する」というような図式が暗黙の了解になっていた部分があるため、会社に産休や育休があっても後ろめたい気持ちが先行してしまうことが多かったようです。
しかし、政府が大きく謳ってくれることで、臆することなく取得することができます。
好きな仕事を続けられる
好きな仕事なのに、出産や育児で継続して働くことをあきらめた人が多いのも現状でしょう。ましてや長時間の勤務となるとなおさらです。
時短ワークや有休休暇の取得推進などがあれば、メリハリある働き方ができ、育児とのバランスも
取りやすいでしょう。
収入の確保
子育てしながらも就業できるということは、その間も収入が継続してあるということです。そのため、育児の際にかかる生活費も心配しなくと良いという安心感があります。
働き方改革のデメリット
職場の理解
いくら政府が働き方改革を進めたところで、すべての会社が理解してくれるとは限りません。
たとえば、男性社員が多く、女性社員が少ない会社なら自分が産休や育休を取得したり時短ワークすることで、人手不足になってしまいます。
そのような会社だと理解してもらうのに時間がかかり、なかなか制度を利用しずらいかも知れません。理解してもらうためには、役職者の意識を変えることから始める必要があります。
保育園などが確保できない
現在の日本は、保育園や託児所が不足しているのが実状です。託児所を設けている会社もありまが、この制度が末端の会社まで行き届くのは、時間がかかるし不可能な会社も出てくるでしょう。
働きたくても預ける場所がないと、なかなか難しいのです。
家族の協力
女性が育児をしながら働き続けるということは、家族のサポートは必須になります。特に夫の協力がなければ、家事などのしわ寄せがすべて女性に来てしまいます。
しかし、夫も働いていることから、平日はお互いあわただしい忙しさ。夫が出張が多い仕事であれば、なおさら大変ですよね。
育児や家事への協力と理解があることで、安心して社会復帰することができるのです。
高齢者の改革後のメリットとデメリット
高齢者にとってのメリットとデメリットを見ていきます。
定年が延び、安定した雇用に
今までの定年はだいたい55歳~60歳と、まだ働ける年齢であっても早期退職などをする場合も多くありました。しかし、働き方改革実施後は、60歳を下回る定年は認められていません。
年齢を重ねても、まだ働きたいと思う高齢者にとって安定した雇用があることは嬉しいことですが、果たして本当に皆がそう思っているのかは疑問です。
働き方改革のメリット
国の年金の負担減少
65歳以上の人が現役で働くという背景に、国が支払う年金が減るという仕組みがあります。国にとっては財政的にも良い結果を生むことになるため、このようは働き方を推進している部分もあると言えます。

実は、ココが一番大きいと思っています。だからこそ「65歳を過ぎても働いていたい」との架空?データーが作られるのでしょう!?
労働人口の確保
現在の日本は高齢化と少子化が進み、労働人口の減少が続いています。65歳以上の高齢者も引き続き働くことで、労働人口の増加が見込めます。
再就職先がある安心感
もし現在の就職先を退くことになったとしても企業が再就職先の援助を行なうというルールがあります。離職する際はこの先のことが不安ですが、このように今度のことも援助してもらえるようであれば、会社都合で離職する際も気持ちがラクですね。
ベテランこそ見習うべき
現在65歳以上の高齢者は、高度成長期後の日本を担ってきた、私たちの尊敬すべき仕事の先輩です。若さ溢れる20代はこれからを担っていく新しいパワーではありますが、高齢者からは仕事に対しての姿勢など多くのものを学ばさせてもらうことができます。
高齢者とは呼ばれていますが、まだまだバリバリ働ける年代ですが、とは言え全員に当てはまるわけではありません。職種によるところも大きいでしょう。
働き方改革のデメリット
加齢による健康状態の心配
まだまだ元気とはいえ、やはり健康上の問題で長時間勤務や肉体労働は難しい面もあります。体調・体力を考慮しつつ、時短ワークや軽作業など、出来る範囲の仕事を提供していくのが良いでしょう。
今後の不安
再就職先の援助をしてくれるとしても、やはり今後のことは不安が付きまとうと思います。新しい仕事が自分にできるか、会社に馴染めるかという問題もあります。
若いときの転職と違って、年齢を重ねてからまた新しいことを一から覚えるということは、高齢者の心の負担にもなってしまいます。
障害者の改革後のメリットとデメリット
改革後のメリットとデメリットを障害者の観点から見ていきます。
健常者との隔たりのない社会生活を過ごせる
現在の日本では、従業人がある一定の人数の場合、障害者を雇用することが義務付けられています。
障害者とは、障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手璋を持つ人のことを言います。
心身に障害がある場合、就職先がなかなか見つからずに苦労するということを聞いたことがあります。障害者枠で職員を募集する際は、少人数の定員に多くの人が申し込むのが現状でしょう。
やはり、皆働きたいのです。
会社側も義務だからという理由だけではなく、障害者を一戦力として採用することで、障害者と社会を結ぶ架け橋となり、生きる希望ややりがいを感じてもらうことができます。
同じ日本を生きる人として、隔たりなく社会生活を過ごすことができます。
働き方改革のメリット
人員確保
障害があるからと言って、定職に就けないというわけではありません。障害者でもできる仕事を用意しそれを任せることで、効率が上がることも大いにあります。
会社側のメリットとしては、人員確保にもなりますし、即戦力ともなり得ます。
メンタルの向上
働けずに自宅にこもっているより、自分にできることに取り組むことで社会的貢献をしていくことが
できます。働くことで、メンタル面も安定し、仕事に喜びややりがいを見い出し、楽しい毎日を過ごすことができるようになるのです。
障害者の働き口が少ないのが現状ではありますが、一人一人が充実した就業時間を過ごすことができれば喜ばしいことですね。
働き方改革のデメリット
仕事が続かない
障害の度合いによっても変わってきますが、仕事が定着せずに退職してしまう場合もあります。体力がない人には軽作業を、話すのが苦手な人には繰り返し同じ作業ができるものなど、症状に合わせた職種を選んであげるのが良いのですが、業務内容上そのような配慮が難しい場合もあります。
コミュニケーション問題
障害の症状によっては、コミュニケーションが取りずらい場合があります。働いている以上、仕事を教えたり意志を伝え合うのは当たり前のことですが、話すのが苦手だったり、意志を伝えるのが難しい人もいます。
会社の雰囲気に馴染めなかったり、人間関係においてどうしてよいかわからない人もいます。これらは、会社側の配慮が必要不可欠と言えます。雇用の際に家族らと話し合って、助け合いながら仕事を進めていくことが必要です。
会社としての責任感
障害者を雇用するにあたって、会社には大きな責任があります。障害者を迎え入れる体制・設備の設置・研修の実施など、決め細やかな対応が必要になってきます。
しかし、会社側がどんなに対応しても、体調の悪化・コミュニケーションの不足・業務内容の不向きなどでの退職があることも否めません。
できる限りのサポートをし、働きやすいと感じてもらえる会社作りをしていくことが大切です。
外国人労働者の改革後のメリットとデメリット
改革後の外国人労働者のメリットとデメリットはどうなるのか、見ていきます。
専門分野の労働力補填
日本の労働人口は年々減少しております。その理由は、高齢化と少子化です。労働人口を増やすには、外国人労働者の力も必要な時代になってきました。
政府は、外国人労働者の受け入れのため、環境整備をしてきました。働き方改革を行うことで、今後外国人労働者が増えることは間違いないでしょう。
特に、今後重要となってくるのが、IT企業などの専門分野です。将来的にIT業界は人員が不足すると言われており、今から専門的分野に長けた人材を育てていくのが課題です。
海外から日本に来る労働者にとって魅力的である仕事を用意していくことが重要ですが、IT企業はこれからも伸び続けていくであろう仕事なので、長い期間働き続けることができるのが魅力です。
また、専門分野ということで、その道のエキスパートを育てていくことができます。
働き方改革のメリット
将来を見据えた人材確保
IT技術が進歩して需要は高まっているのに、労働人口の減少で将来的には人員不足が見込まれます。
そのため、海外からの専門知識豊富な労働者を受け入れることで、将来を見据えた人員確保ができます。
アメリカをはじめ、中国などにもIT技術者が多くいます。国が違うと働き方も異なるので、馴染むまでは時間のかかる人もいるでしょう。労働環境が整えば、日本の企業でもすぐに辞めずに勤務することができるはずです。
グローバルな仕事を目指す
外国人労働者を採用することで、他国との接点もできます。他国とプロジェクトを組んだり、よりグローバルな環境を目指していけます。
また、海外に店舗を増やしたいなどと思ったときに、外国人労働者の力が必要なことも多くあるでしょう。スキルの高い社員を雇用して、一緒に会社を盛り上げていけます。
働き方改革のデメリット
転職されやすい
日本人と違って、仕事にすぐ飽きてしまったり、考え方の違う国もあります。簡単に転職されかねないので、採用の際は覚悟もいるでしょう。
また、すぐに転職されないために、賃金は妥当な金額とし、他への流出を防ぐことも必要です。
言語の問題
もし、あまり日本語が話せない外国人労働者を採用した場合、コミュニケーションが難しいです。コミュニケーションが上手にできず、社内にいるのがつらくなって退職する人もいるでしょう。
仕事の引継ぎなど、相手に説明することは多くあります。多国語が堪能な人を在籍させることも視野に入れて、上手にコミュニケーションを図っていかなければなりません。
労働時間の見直し
日本人は本当に真面目です。しかし、同じアジア圏でも、日本人のようにきっちりと勤務するのが苦手な国もあります。彼らから見ると、日本人は働きすぎに見えるようですよ。
海外労働者に合わせた勤務時間を設けたり、自宅での作業をできるようにしたり、多様な働き方を提案していく必要があります。
文化の違いが誤解を生む
国によって、生活習慣が全然違いますよね。時間ごとにお祈りする国や、自分の意見をはっきりという国、食事のあとはゆっくり休憩したい国、国の決まりで食べられない物が多くある。本当に全然違う習慣を私たちは生きています。
それらの違いをしっかりと理解したうえで採用しないと、採用した側は「サボってる」「仕事を遅らせる」などの不満を感じます。文化の差を理解するため、下調べも必要ですね。
若者の改革後のメリットとデメリット
日本の若者の働き方について調べてみたところ、いままでの日本の働き方とはちょっと違う感覚の意見があったようです。
- 通勤ラッシュを避けて出社したい
- 残業ゼロで仕事がしたい
- 長い時間働きたくない
- オフィス以外で仕事をしたい
- ストレスなく働きたい
など、自由な発想での意見が多かったです。
現在では、自分の好きな時間に出社できる会社も増えており、上手に時間調整しながら働いている人も増えてきています。
また、在宅勤務というものも認知されてきており、出社せずとも仕事ができるというメリットが若い人を中心に支持されています。
このように、自分の生活スタイルを優先しながらの仕事を望む傾向が強いのはIT社会になったからというもの関係しているでしょう。
若者は、パソコンやスマホなどのツールを使用することが得意な人が多いです。ですから、それらを利用したITなどの仕事が人気です。

しかし、一生ものの仕事をモノにするには、短期間では足りません。様々な経験、コミュニケーション、同僚との協力などを得て、身についていきます。
社会に出てたくさんのことを経験していくことも必要だと感じています。
能力主義の世の中はとても合理的ですが、反面無機質で寒々しい思いです。また、それについていけない人たちはどうすればよいのか…という当たり前の疑問点も出てきます。
これからの日本を担っていくのは、若者です。彼らの働きやすい環境などにスポットを当てながら、柔軟な法を進めていくのが職離れを防ぎ、労働人口を増やしていくカギになりそうです。